次世代を担う教師を育てる一年間の教師・指導者育成プロジェクト

【事業報告】
2009年度指導者育成プロジェクト参加者 佐野 薫子
〜1年間実習生かおるこの学びのコラム〜

4月の研修報告研修担当しんのふりかえり

5月の研修報告研修担当のりのふりかえり

6月の研修報告研修担当ぱるのふりかえり

7・8月の研修報告研修担当ぬまのふりかえり

9月の研修報告研修担当とらのふりかえり

10月の研修報告研修担当みけのふりかえり

11月の研修報告研修担当なおみちのふりかえり

12月の研修報告研修担当つかのふりかえり

1月の研修報告研修担当ばんのふりかえり

2月の研修報告研修担当にっきのふりかえり

3月の研修報告研修担当しんのふりかえり



 4月かおるこ研修報告

1.環境に慣れること
 4月は、とにかく環境に慣れることが大変でした。すべてが新しい環境になり、わからないことだらけの中で毎日の生活が始まりました。グリーンウッドの中では研修生として、こどもたちの中では相談員としての自分の役割があり、しかし状況的には新規のこどもたちと同じ立場でありわからないことが多く、戸惑うことが多々ありました。
 また、一日一日をきちんと自分の中で振り返ることができなかったことが大きな反省点にもなっています。

2.初めて生でこどもと向き合ったこと
 私は、だいだらぼっちに来て初めてこどもと直接向き合いました。そこで感じたことは二つあります。ひとつは、「こどもときちんと向き合う」ということの大変さです。こどもと接するということは、何か問題が起きた時に手を貸すということではなくて、毎日のその子の様子をきちんと見ていること、毎日の生活の中でコミュニケーションをとって一人一人ときちんと関係を築くこと、そして、小さな変化に気づくことが土台だと感じました。その土台を毎日の生活の中で作っていくことが初めの一歩であり、その後に繋がっていくのだと感じました。でも、自分自身もわからないことだらけの状態の中で、まだまだこどもたちときちんと関係を築いていく段階になっていない状態でした。4月の1ヵ月でその難しさを実感したのと、これからの大きな課題だと思います。
 もう一つは、こどもたちへの接し方です。私は、こどもたちが何かをしている時に、自分からやり方を見つけて実行するまで「待つ」ということ、こどもたちを「信じる」こと、「一緒に何かをする」ということが全然できていなかったように思います。こどもたちに対する言葉がけや、私自身の考え方が、相手に向いていなかったと思います。特に「信じる」という部分では、反省させられることが多かったです。
 こどもと大人という意識ではなくて、一人一人の人間としての関係をちゃんと築いていきたと思います。当たり前のことですが、難しいと実感した1ヵ月でした。
 
3.だいだらぼっちに来た意味を改めて考え直したこと
 だいだらぼっちで暮らしはじめて、自分がどうしてここに勉強にきたのか?何を学んでいくのか?を改めて考え直せたと思います。だいだらぼっちではこどもたちと「暮らし」を一緒にしています。この体験は学校や他では絶対に体験できません。だいだらぼっちでは「暮らし」の中でこどもの生活の深い部分に入り込んでいて、日々の生活が教育の場になっています。私の行動、態度の一つ一つがこどもたちに直接伝わっているのだと感じます。そして、こどもたちから自分自身のことも教えられている、勉強させてもらっているということを強く感じます。これから先もこどもたちと関わりをもった仕事をしていく人間として、毎日の「暮らし」が勉強であり、一日一日を丁寧に大切にしていくことが、私自身にとっての勉強や経験になると感じています。

■まとめ
 とにかく、環境に慣れること、こどもたちと日々の生活を創っていくことに必死な1ヵ月だったと思います。気づけば4月が終わってしまいました。1ヵ月という短い期間だけでも、だいだらぼっちの中でのこどもたちとの接し方、スタッフや保護者・村の方々との接し方、自分自身への接し方で、考えさせられることがたくさんありました。一日一日が、次の一日に繋がっていき、1年間を作っていくのだと思います。毎日を丁寧に大切にして、これからあと11か月、ここで学んでいきたいと思いました。


研修担当しんのふりかえり 

  1年のスタートを切って、一ヶ月。こども同様、かおるこも、「だいだらぼっち」に慣れることで精一杯だったようです。大人数での共同生活、コンビニもない田舎で、薪の暮らしなどなど、今までの生活から180°変化した生活には学ぶよりも、まずは慣れることが大変です。おそらくこれはグリーンウッドの全てのスタッフが通った道だと思います。逆に言えば、こどもの不安な気持ちや緊張を最も共感できる貴重な機会でもあります。将来教育者となることを目標にしているかおるこにとって、こどもと寄り添う第一歩として、とても重要な期間になったのではないでしょうか。
 ふりかえりでは、現状の自分の評価はかなり低いようでした。こどもとの距離感がつかめなかったり、やるべきことに追われ、こどもとの時間が持てなかったりと、今の状況にもどかしさを感じているようです。しかしそれは自分の課題が見えてきているということです。まだスタートラインに立ったばかり。その課題にひとつひとつ向き合って、ゆっくりとでもいいので確実に歩んでいってもらいたいと思います。
 今回のふりかえりの中で印象的だったのは、「こどもに気づかされた」という言葉です。だいだらぼっちは、大人は指導者、リーダーという立場ではなく、あくまで一人の大人としてつきあいます。こどもを一人の人として捉えることができないと、「こどもから教えてもらう」ということには思い至りません。「大人は正しく、こどもに教えてあげる」という固定観念に捉われず、あぁそうか!と誰からも教えてもらえる素直な気持ちが、自分の成長、学びにつながるのです。かおるこの振り返りを読んで、育ち育てられという、本来あるべき人同士のいい場が作られているなと感じています。
 
 周りにあわせることに精一杯で、今はチャレンジできていないということ。来月の目標には「挑戦」とありました。この一年はあるいは失敗をしていい年。たくさんチャレンジして、失敗することが次の成長につながります。今後は、失敗を恐れず、とにかく自分を出し切って欲しいと思います。がんばれかおるこ!


 5月かおるこ研修報告

5月が終わりました。5月の最初に行われたGW合宿がずっと以前のことに思える程に、5月もあっとゆう間に過ぎていったように感じます。
5月は自分の中で大きな変化がありました。それは、色々なことにおいて「自分が楽しむ」ということを自分の中に落とし込めてきたということです。そして、自分が本当に楽しんで初めて、こどもたちに「楽しさ」を伝えられるということを、実感として感じとったということが大きな変化でした。だいだらぼっちで生活する中で、「自分が楽しむために何かをやること」がこどもたちに対して背中を見せること、お手本になることであるのだと思いました。

5月の振り返りをして頂いて、改めて気付かされたことは、ここではテクニックやノウハウは全く通用しないということです。
今までは、お手本にならなければいけない、失敗してはいけないと感じていたり、苦しんでいる姿(困っている姿)は見せてはいけないと知らないうちに感じていました。でも、苦しんでいる姿、悩んでいる姿を見せないことよりも、自分をこどもたちにさらけ出しながら、私自身が悩んでいたり苦しんでいたり、困っていたりるすることを乗り越えていく姿を見せていくことの方が重要なことなのだと気付かされました。そのままの自分の姿をこどもに見せること、こどもたちにこうなってほしいと思っている姿を見せることを、まずは自分が行動することが大切なのだと思いました。

5月は、子どもと一緒に色々なことを「楽しむ」ということがやっとでき始めた第一歩の月だと思います。今までは、新しく始まった生活に精いっぱいだったり、いろいろな場面でわからないことばかりが多かったのですが、5月は、自分が楽しむことで子どもたちにもその楽しさが還元できるのだと実感した月でした。まずは自分が本気で楽しむこと。そしてそれが子どもたちに返っていくこと。それがわかったことは、私にとって大きな気づきでした。
だいだらぼっちでは(泰阜村)では、ここでしかできないことがたくさんあります。残り10か月という短い期間の中で、ここでしかできないことをたくさんして、多くのことを学び吸収して、自分自身の糧にしていきたいと思います。そして、ここで学んだことを将来教育の現場でこどもたちに還元していけるよう、頑張りたいと思います。

6月は、まずは何でも「やってみる」ということを心において、また一か月頑張りたいと思います。


研修担当のりのふりかえり 

 かおるからの振り返り最初のひと言。「5月はあっという間だった!」でした。
4月のどこにいて、何をすればいいのか分からない状態から、少し人間関係もでき始めた5月。保護者の方も一緒になって行ったゴールデンウィークの合宿に始まり、田植えや建設作業、こどもたちとの日々のやり取りなど、暮らしの中で毎日はあっという間に過ぎたようです。
 けれどそのあっという間の5月から学んだことは多かったようで、本人の振り返りの中にもありましたが、@自分が楽しむことが大切。Aやれることはどんどんやった方がいい。ということでした。
 それでも、ひとつひとつの時間のとり方がうまくいかないこともあり、みんなに迷惑をかけていると思う気持ちから、やりたいことにチャレンジできない自分もまだまだいるようです。

 そこで、かおるこよりほんの少し?年上で、わずか11年ではありますが親としもこどもを見てきた私からかおるこに伝えた言葉です。
 「こどもは良くも悪くも、大人(親)の後ろ姿を見て育っていきます。自分がこどもにチャレンジしてほしいと思うなら、まずは大人がチャレンジすべきだと思う。」ということです。
 大人の「楽しむ心」「チャレンジの気持ち」はこどもに伝わります。同じように「つらい気持ち」「あきらめる心」もまた、こどもに伝わるのです。どんな心や気持ちをこどもに持ってほしいのか、どんなふうに育っていってほしいのか、そして大人としては自分自身がどうありたいのか、それがそのままこどもたちにも伝わっていくのではないかと思います。
 こどもと向き合い、本当に大事なことは何なのかを伝える気持ちを忘れずに6月もがんばってください。

 ちなみに、一緒に振り返りを行った私にとっても、とてもよい自分自身のふりかえりとなり、6月もがんばるぞー!という気持ちにさせてもらいました。ありがとうございました。


 6月かおるこ研修報告

6月を振り返ってみると「あっとゆう間に過ぎて行った」という言葉がぴったりくる一か月でした。
だいだらぼっちでの生活も、気づけば3か月が過ぎました。

6月は2つ、大きな気づきがありました。

1つ目は、「支え合う暮らし」を再認識したことです。
6月に入ると、グリーンウッド全体で夏のキャンプに向けての動きがどんどんでてきました。
グリーンウッドスタッフ全員がとても忙しい毎日を送る月であったように思います。そしてこれからもスタッフ全員がどんどん忙しくなっていきます。
その中で感じたことは、ここでの暮らしは「皆で支え合って初めて成り立つ」ということでした。
支え合い、助け合い、思いやりの気持ちが集まって「だいだらぼっちの暮らし」が成り立っています。
それは、子どもたちの生活だけではなくて、大人の生活もそうなんだということを肌で感じました。
そんな中で、「今、自分にできることは何だろう」と以前よりも考えるようになりました。
今の私なら、何をしたら他の皆を支えられるのか?何ができるのか?をとても意識するようになりました。
どんな小さなことでも、そこを誰かがやらないとだいだらぼっちの「暮らし」は成り立ちません。
他の人が気持ちよく生活できたり、仕事ができたりするように自分が動きたいと思いました。

また、大人同士が支え合っている姿を子どもたちに見せることが、子どもたちに反映されていくのだと思いました。
だいだらぼっちの子どもたちの暮らしの中で大切なことは、「思いやり、支え合い、協力」だと思います。
これがなければ「暮らし」が成り立ちません。だいだらぼっちで暮らす子どもたちには、ここでの生活を通して自立はもちろんですが、それと同じように相手を思いやる気持ち、支え合いの気持ちを学んでいってほしいと思っています。
子どもたちに何かを伝えたい時は、言葉ではなくて態度で示すこと(自分がやってみること)、自分の軸をぶらさないことが大切だと私は思っています。まずは自分自身に対して、支えあい、思いやりの気持ちを忘れていないかを
振り返りたいと思います。自分の態度が子どもたちの鏡になっているのだと、改めて実感しました。

2つ目は、こどもたちに対するバランスです。
6月は、特定の子どもばかりに目が向いて、気づいたら他の子どもとのコミニュケーションがあまりとれませんでした。子どもたちは、私のその姿をちゃんと見ています。
自分がそのことに気がついた時には、子どもにそのことを指摘される状態でした。17人の子どもたちをどの子も同じ時間をかけて目を向けることはとても難しいことなのだと、実感しました。
では、その不均衡なバランスを修正するためにはどうしたらいいのか?それには、子どもたちが私のことを必要としてくれた時には、その時間、その子に対して丁寧に対応するということをしようと思いました。その時間が例えば5分でも10分でも、ちゃんと話を聞いてその子のために時間を使うことをしようと思います。自分の心持ちは必ず子どもに伝わります。雑にやっていたらそれがそのまま伝わるし、丁寧にやっていたらちゃんと気持ちが伝わると思います。「あなたを見ているよ」という気持ちを、心で思っているだけではなくて、声と態度に出して伝えていきたいと思いました。
毎日のその積み重ねが、子どもたちとの信頼関係を築いていくのだと思います。


最後に、6月の振り返りは、ぱるにして頂き、ぱるからもらった言葉に気づかされたことがたくさんありました。

「今ある現状に感謝をする気持ちを持つこと」
「今ある自分の立場を全うすること」
「なりたい自分をきちんと持つこと」
「何でも楽しみながら取り組みきちんと吸収すること」
「自分にできることは探せばいくらでもあるということ」です。
この3か月は、「出来ないこと」ばかりに目が向いてしまって、自分のことをマイナスに捉えることが多かったように思います。でも、そうではなくて、「出来たこと」をきちんと見てあげて、自分を認めてあげることも大切なことなのだと、ぱると振り返りをしていて思いました。
自分の心持は、子どもたちにも伝わります。反省ばかりでマイナスなことばかり考えていると、それがそのまま子どもたちに伝わります。時には自分をきちんと認めてあげて、自分の心の中に余裕を持つことも、大切なことなのだと気付かされました。

7月は、ついに夏のキャンプに入ります。私も7月の後半からはだいだらぼっちを離れてキャンプに参加させて頂きます。
短い間ですが、約4カ月だいだらぼっちで過ごした日々を、キャンプの場で生かしていきたいです。
そしてキャンプで学んだことを、今度はだいだらぼっちに還元していきたいと思います。


研修担当ぱるのふりかえり 

 6月はだいだらぼっちの生活も、スタッフとしてのその他の仕事も、さらには個人的な所用も重なり、とにかく忙しい月だったようです。そこで出てきた課題は、時間を作るのが大変だということ。そのために1:段取り 2:支え合いが大切だという言葉が出てきました。そう、まさにだいだらぼっちで大事にしていることです。
 だいだらぼっちに限ったことではないですが、特にここでは暮らしのために必然的に「すべきこと」がたくさんあります。さらにこどもにとっては学校、大人も日々やるべき業務や家庭、近所とのお付き合いなど、次元は違えどどれも大切な暮らしの中の『仕事』を抱えながら生活しています。だからこそ、「すべきこと」「したいこと」にプライオリティをつけ、段取りをしっかりとって行なうことが大切、ということをこの忙しい一ヶ月間に身をもって実感したようでした。また『みんな忙しいからこそ、自分は自分のできることをしよう』と思い、そういう姿を自分が見せていくことでこどもが学んでくれるのではないか、というかおるこの言葉は、5月の反省がまさに活かされて出てきたのではないでしょうか。一月ずつ、自分なりの課題を見つけて実践しているように思います。
 またその他の課題として、今実際に問題を抱えている(ように見える)こどもにばかり目がいってしまい、こどもを見るバランスがとれなかった、ということが出てきました。人間誰しも問題が起きると、その『渦中の人や事』にばかり目がいき周りが見られなくなるものです。ですが特にこどもたちは、見えないところで問題を抱えていたり、また誰かばかりに目が向けられていると、自分は見てもらえていない、認められていないと思いストレスを抱いたりすることも多くあります。まさに教育の現場で指導者が直面する課題への対応を、今かおるこは実際にここで経験しているのです。彼女はこの課題に対しても、ふりかえりの中で自分なりの答えを出していました。自分で課題を整理して振り返り、それに対して自分なりの方向性を見出す。そして実践する。ここは日々が実践の繰り返しだからこそ、着実に力になるはずです。
 6月は「自分の姿勢を貫く」ことができたことがよかった点だったとのこと。なかなか簡単にできることではありません。その調子で、今回の振り返りで出た課題に対して自分で見出した方向性を見失わず、自分の姿勢を貫いてください!


 7・8月かおるこ研修報告

7月、8月の2ヶ月は、とにかくキャンプに始まりキャンプに終わったような気がします。本当にあっとゆう間に過ぎた2ヶ月でした。
私の中で、夏のキャンプを経験したことは、本当に大きな財産となりました。キャンプを通して学んだこと、改めてわかったこと、自分の中で変わっていったもの(感情)がたくさんありました。

初めてのキャンプ。私は毎日目の前の仕事に追われていて、ただキャンプをこなすだけになっていました。しかし、ふと「私は、こんなにたくさんのこどもたちに出会っているのに、自分の伝えたいことが伝えられているかな?」
と考えるようになりました。4泊5日のキャンプは、だいだらぼっちの1年間の生活に比べたらとても短いです。その短い期間の中で、私はこどもたちに対して何を伝えられるだろ、どうやって伝えていったらいいんだろうと考えるようになりました。このままでは、ただキャンプの時間を過ごすだけになってしまうと、本部スタッフをしながら危機感を感じたことをとても思い出します。
その時ふと、その気持ちはだいだらぼっちでの生活でも言えることだと思いました。毎日一緒に暮らす中で、なんとなく過ごすことはいくらでもできます。でもそうではなくて、毎日の生活の中で自分の伝えたいことを少しずつでも伝えていくこと、それを積み重ねていくことが大切なんだと感じました。
だいだらぼっちの生活は1年間です。4泊5日のキャンプに比べたら、できることがものすごくたくさんあるんだと、改めてだいだらぼっちの環境の凄さを実感しました。

また、私は、だいだらぼっちのこどもたちと「一緒に暮らす」ということがまだできていなかったんだとキャンプを体験して、その振り返りをして実感しました。私は「一緒に暮らす」ということを「こどもたちと相談員」という視点で考えていたように思います。大人としてこうしなきゃいけない、相談員としてこうゆうことを言わなきゃいけない…そんなことが頭の中の多くを占めていたような気がします。でもそうではなくて、共に暮らすということは、「一緒にご飯を食べる」「一緒にお風呂に入る」「一緒に作業をする」「一緒に遊ぶ」「一緒に笑う・怒る・ケンカをする」そうゆうことなんだと思いました。一緒に暮らすことで、お互いの信頼関係が生まれる。そしてその先にもう一歩踏み込んだこどもたちとの関係が生まれるんだと思いました。これを気付かせてくれたのは今回振り返りをしてくれたぬまでした。そして、ぬまと話しをした後でキャンプのことを考えてみると、族の相談員さんたちもキャンプをしながらこどもたちと「一緒に暮らし」て、最後には一つの家族になっていってたなぁと思いました。
今の私にはこどもたちに何かを伝えていくための土台も、信頼関係の土台もまだまだありません。まずはだいだらぼっちのこどもたちと本当の意味で一緒に暮らして、何かを伝えていける信頼関係を築いていきたいと思いました。

キャンプを通して、たくさんのこどもたちに出会えたこと、たくさんの相談員さんに出会えたこと、キャンプを支えてくれている多くの方の存在を知れたこと、実感したこと…とにかく「人」との出会いや支え合いに触れられたことが私にとっての大きな財産になったと思います。また、ここには書いていないたくさんの学びも私の大きな財産になりました。多くの出会いに感謝をして、キャンプで得た学びを今後のだいだらぼっちに活かしていきたいと思います。
キャンプの現場に出させて頂いたこと、本当に感謝します。ありがとうございました。


研修担当ぬまのふりかえり 

  かおるこの7・8月の活動の中心は、「山賊キャンプ」にスタッフとして関わることでした。たくさんのこどもたちと寝食を共にしたこの夏は、彼女にとって大きな時間だったそうです。
彼女に「山賊キャンプを経験した今、自分の中に芽生えたものは何?」と質問してみました。すると「いろいろあるけど、まずはこどもたちへの愛情です!」という言葉が返ってきました。「キャンプでたくさんのこどもたちと出会って、こどもって本当に可愛いなと思いました。また、だいだらぼっちのこどもたちの凄さも感じました。みんなとても頑張ってますよね、以前よりも応援したい気持ちが強くなりました」と話してくれたかおるこの表情は、笑顔でいっぱいでした。そんなかおるこの返事を受けて、私は納得し安心しました。なぜなら、「愛情」はすべてを生み出す源だからです。

 例えば、ダンボールを組み立ててくださいと言われたとします。誰でもそのやり方さえわかれば組み立てることができます。しかし、言われてすぐできること・考えてすぐできることがある一方で、いくら考えてもすぐに答えがでないものもあります。こどもたちに接する上でぶつかる壁は、後者にあてはまるでしょう。
 目の前にいるこどもたちと毎日向き合う日々。かおるこも、自分がどのように関わればいいのか分からないということを、一学期からずっと持ち続けているようです。ただ、向き合う毎日から培っているものは、確実にあります。今回、「こどもたちへの愛情です」と答えたかおるこは、確かに成長していると感じました。こどもが好きということ以上に、こどもたちが愛しい・応援したくなると思えるようになったのは、心が熟してきた証です。
 私自身の経験から話すと、大切なことは、どうすれば良き対応ができるのかを考えることよりも、まずはこどもたちを愛する、そうした感情を自分の中に生み出すことだと思います。しかし、これは出会ってすぐに芽生えるものではなく、向き合う日々の中で時間をかけて自分の心の中につくってゆくものです。そして、この感情が土台となって、そこからこどもたちに対する関わり方が自ずと生まれてゆくのだと思います。

 最後にかおるこへ、こんな質問を投げかけてみました。「今後の自分に期待することは何?」。この質問難しいですね〜と悩みながらも、彼女は「生活をこどもたちと一緒に楽しむこと。これって無理にやることじゃなくて自然にやれるもの。まだ慣れない自分がいるけど、心から楽しめたらいいなあ」と話してくれました。
 5ヶ月かけて自分の心に芽ばえたものを信じて、自信をもって進んでいってほしいと思います。がんばれ、か・お・る・こ!!


 9月かおるこ研修報告

9月は、夏キャンプを終えて初めの1ヶ月でした。私の中で9月は、キャンプで学んだことをだいだらぼっちに還元しようという気持ちでのぞみました。一番意識したことは、「こどもと一緒に何かをする」ことです。
前回の振り返りでも書きましたが、1学期は私はまだまだこどもと一緒に「暮らす」ということが出来ていませんでした。9月はもっともっと子どもと同じ立場に立って、本当の意味で一緒に「暮らす」ということを実践しようとしました。

だいだらぼっちのこどもたちは、こちらが想像もできないようなことを突然提案したりすることがよくあります。例えば、先日は「かおるこ、大峰山(歩いて上ると20分程かかる近くの山)まで走って登って帰ってくるの競争しよう!」と突然言われてその1時間後に本当に競争をしに大峰山に登ったり、夜の8時頃に、「明日の朝ご飯に出すためのワッフルを今から作ろう!」と言われて、夜中までかかって一緒に作ったり、最近のだいだらぼっちは将棋ブームなのですが、私は将棋などやったこともないのに「かおるこ、将棋やろうよ!教えるから」と言われて、こどもたちに教えてもらいながら一緒にやってみたり(やってみるととてもおもしろいです!)しました。
9月はシルバーウィークがあり、こどもたちが考えたたくさんの企画をこどもと一緒に過ごしたり、団結キャンプ(こどもと大人が一緒になって、だいだらぼっちの皆でキャンプをしました。企画は全てこどもたちです。)で皆で1泊2日のキャンプをしたりと、子どもたちと一緒に活動できる時間が多く、目標を実践できる大切な時間をたくさん持つことができました。
こどもに何かを「やろう!」と言われたら、とにかく一緒にやってみる、遊ぶ、楽しむということをしました。

今挙げたことはほんのささいなことです。これを読んで頂いている方にすると、とても小さなことに思えるかもしれません。でも、このささいなこと、小さなことをこどもたちと一緒に日々の生活の中で繰り返すこと、積み重ねることが今の私にとってはとても大切なことであるし、その土台が人間同士の繋がりになっていくのだなぁと実感しています。
こどもたちや、だいだらぼっちでの生活に対する自分の視点、意識、思考回路が変化したことで、こどもたちとの関係も変化したように思います。以前よりもこどもたちとの距離が近くなったように感じます。

9月が終わり、指導者育成プロジェクトの期間も半分が終わりました。私がだいだらぼっちにいられる時間はあと6ヶ月です。1年の中の折り返しがスタートする10月。10月も9月の1ヵ月に大切にしてきたこと「こどもたちと一緒に暮らす」ことを引き続き大切にしながら、私の中でもう一つ上のチャレンジをしていきたいです。
残り少ない時間の中で、1日1日を大切にして、こどもたちとの生活、だいだらぼっちでの生活を過ごしていきたいです。そして、こどもたちとの信頼関係の土台を作りながら、自分の伝えたいことをこどもたちに伝えていく手法を自分なりに模索していきたいと思います。


研修担当とらのふりかえり 

9月は、7・8月に行われた山賊キャンプでの現場研修を終えて、だいだらぼっちのこどもたちと新しい暮らしを作り始めた時期になります。山賊キャンプを終えて、かおるこがまず感じたことは「気持ちの面ですごい変わった気がする」「自分たちで段取りを取って何でも進めていけるだいだらぼっちのこどもたちはすごい」ということでした。だいだらのこどもたちと1か月以上も離れ、「もっとだいだらのこどもたちと何かを一緒にしたい」、「私も自分なりに何かをこどもたちに伝えたい」、そう強く決意することができたようです。
こどもとできることをやろうという気持ちが、例えば中学生がお弁当を作る日に、宿直でなくても早く起きてきて、こどもたちと一緒に弁当作りを手伝ったりするなど、自分のできる範囲での頑張りが見受けられる1か月でした。そういう態度や気持ちがこどもたちに伝わったのか、こどもたちがかおること楽しく話をしたり、遊んだりしている場面が毎日のように見られました。
また、だいだらぼっちのこどもたちのキャンプでは、総まとめのこどもをサポートしながら、一つの大きな行事を成功に導くための段取りなどを様々な観点から学ぶことができました。
今後に活かして欲しいことと言えば、実習等で1週間以上不在になる時に「だいだらのこどもたちに自分が何ができるか」を常に考えて欲しいと思います。もちろん自分の実習には全力で投球して欲しいですが、子どもたちと距離を置き、離れているからこそ、感じたり、見えたりすることがあると思います。その考え、想いを戻って来てからの自分に活かして欲しいと思っています。共に学び、頑張りましょう!


 10月かおるこ研修報告

10月は、自分にとって大きな発見が2つあった一ヶ月でした。
一つ目は、「毎日の生活をだいだらぼっちのこどもたちと過ごせることの幸せ」です。
10月後半のだいだらぼっちは、こどもがインフルエンザを発症しました。私は翌週に地元での介護実習を控えていたため、感染を避けるためにインフルエンザが発症してすぐにだいだらぼっちを離れることになりました。その時に感じたこと(わかったこと)は、だいだらぼっちのこどもたちと毎日の生活を共にできることの幸せでした。そして、皆が大変な時に近くにいられないもどかしさ、何もできない悔しさや悲しさを感じました。
他人同士が生活を共にしているということの凄さと、ここに居るからこそこどもたちに伝えられることがすごくたくさんあるんだと、改めて感じました。
だいだらぼっちを離れている間、離れていても皆に対してできることは何かを考えて過ごしました。皆の側にいて支えることはできなかったけれど、この期間にだいだらぼっちに居られることが普通ではないことを改めて感じられたこと、また、一歩離れてこどもたちのことを考えられる時間となり、私にとってとてもプラスな時間になったと思います。

二つ目は、「こどもたちに対して、私にしか伝えられないことがある、私にしか解らないこどもたちの気持ちがある」という発見です。
だいだらぼっちに居て私のやるべきことは、とにかくこどもたちと「共に暮らす」ことであり、たくさんの時間をこどもたちと共有して一緒に過ごすこと、そしてその中から学ぶことだと考えています。なので、この数カ月意識していることは、とにかく子どもたちと一緒に何かをするということでした。そしてそれは残りの5か月間も変わりません。私は今、研修生という立場で、とても多くの時間をだいだらぼっちのこどもたちと共有できる生活をさせて頂いています。それは本当に幸せなことです。私はこどもたちと同じ生活(時間)を共有しながら、こどもたちにとても近い視点で、でも少し違う視点を持って、人生の経験が多い分こどもたちよりも一歩先を見て行動できる立場にいると思います。そして、こどもたちよりも少しだけ人生を長く生きてきた経験を活かして、彼らに伝えられることがあるのだと思います。今までは、「研修生の私がこどもたちに何かを言っていいのだろうか?」という遠慮の気持ちが強くありました。でも、10月になって、それは違うんだという確信に近いような感情が生まれました。研修生だから、だいだらぼっちに来て一年目だから、スタッフじゃないから…そんなことを考えていた自分が少し恥ずかしくなりました。立場や役職は関係なく、ここはひとりひとりが人として、人(こどもにも大人にも)にぶつかっていく場所です。だから、私もひとりの人としてこどもと話しをする、対応するべきだと思いました。こどもと同じ視点で暮らしをしているからこそ、だいだらぼっちでの生活がまだ数カ月だからこそ解るこどもたちの気持ちがあり、私には私にしか感じられない想いがあるのだと思います。それをこどもたちに伝えていきたい、伝えなきゃいけないと思うようになりました。
だいだらぼっちでは「違いが豊かさ」だとよく言いますが、この中で生きているとそれをとても実感します。それぞれの役割の中で、私にしかできないこと、私にしか伝えられないことをこどもたちに還元していきたいと思いました。

10月も終わり、だいだらぼっちの生活も残り5か月となりました。11月は、『誰に対しても(こどもも大人も)自分の想いを伝える』という目標をたてました。自分の気持ちを伝えて、相手の気持ちの奥の方を知るということを自分の中できちんとやっていきたいと思います。そうすることが、色々なことの根っこなのだと思います。
そしてこれからも「こどもたちと共に暮らす」とうことを一番大切にして、ここで生活ができるということを大切にしていきたいです。


研修担当みけのふりかえり 

「悩」
これは10月をひとことで言うとどんな月だった?という問いに対してかおるこが出した答えです。
振り返りの中で常にかおるこの口から出てきたのは、「自分には何ができるのか?」という言葉でした。
日常の中で、こどもたちが困っている時に、自分がだいだらぼっちを離れている時に、いつもどんな時も「自分には何ができるのか?」と考えていたようです。「悩」んだのでしょうけど、迷いではなく、確かな気持ちを持って考えていたことがこのひとこととなったのだと思います。
そして、悩みながらも考えた結果を行動する、それがかおるこにとっての大きなチャレンジだったのだと思います。苦手だからと避けてきたことも、何をすればいいのかわからないと理由づけてやらずにいたことも、本当はやりたいのにやってこなかっただけのような気がする、とかおるこは言いました。そして、転んだりぶつかったりしながらチャレンジしてきたことで今までよりも自分に自信がついた、チャレンジしたら何かを得られる、とも言いました。かおるこは今まで、ときには失敗を恐れて、ときには遠慮して、様々なことにチャレンジすることを躊躇してきたようです。が、失敗したらダメという人(大人もこどもも)はここにはいないことに気づき、チャレンジを応援してくれる人がいることに気づき、失敗したらダメなのではなく、その失敗から学ぶべきことがあることに気づいたのです。
こどもと一緒に生活をすること、同じ時間を共有すること、他のスタッフにはできないことをすること、こどもたちよりも少しだけ先を見ながら同じ目線でチャレンジすることetc…常に「自分には何ができるのか?」を考えて行動した結果、かおるこが得たものは何?と尋ねたら「信頼」という言葉が返ってきました。「自分には何ができるのか?」と常に相手を思って行動する誠実さは相手にちゃんと伝わり、それが「信頼」となって自分に返ってきたことに気づいたのです。
今まで避けてきたことにチャレンジしてぶつかってきた結果、もうひとつかおるこが得たもの、出会ったものは、「人の気持ち」でした。それまで自分の気持ちをさらけ出してぶつかり合うことをあまりしてこなかったかおるこですが、10月はそんな場面(想いがぶつかり合う場面)に居合わせ、自分の気持ちをさらけ出すことが多く見られた月でした。その結果、今まで知らなかった、知ろうとしなかった親の気持ちを、まだ少しではあるけれど知ることができたようでした。これもかおるこにとってはかなり大きな出来事だったようです。まだ若いかおるこは親よりもこどもたちの気持ちの方が理解しやすいのは当然です。こどもたちが親に抱く「なぜ?」の気持ちに同化しやすいのです。でも、こどもを思わない親なんているわけありません。親のこころ子知らずとはよく言ったもので、なぜ親がこんなことを言うのか、あるいは言ってくれないのか、そのときのこどもにはわからないことの方が多いものです。かおるこはこどもたちのお父さん、お母さんと話をすることでそのことに気づき、自分の親の気持ちに想いを馳せることもできたように思います。
みけは、みけにはもうできないことがかおるこにはできるよ、と伝えました。少しであっても親の気持ちを知ることができたからこそ、余計にこどもたちの抱く「なぜ?」に寄り添い、今のかおるこにしかできない背中の押し方があるはずですから。
振り返りの最後に、次のチャレンジは?と訊くと、少し考えながらもかおるこは「今までしてきたこと(こどもたちとともになんでもやってみること)を続け、誰に対しても自分の想いを伝えること」と答えました。自分の想いを伝えないと相手も自分に想いを伝えてはくれない、想いを伝えないと自分を理解してもらえないし相手のことも理解できないと思うから、と付け加えて。
かおること振り返りをする中で、みけもたくさんのことに気づかされました。残念だけれども今のみけにはできなくなってしまったことがたくさんあります。が、かおるこが気づいたのと同じように、今のみけにしかできないことがあるはずです。かおるこに負けないように、今自分にできることをもう一度考え直してみようと思います。かおるこ、これからもお互いに想いを伝え合い、たくさんのことにチャレンジしていきましょうね!



 11月かおるこ研修報告

11月は、大きな出来事が2つありました。「だいだらぼっち祭り」と、「話し合い」です。この2つは、とても密接に繋がっていたような気がします。どちらも、私にとって、新たな気づきを与えてくれる出来事でした。

だいだらぼっち祭りは、開催までに大きな話し合いが何度もありました。こどもたちは毎日、学校とだいだらぼっち、祭りの準備の生活の両立を本当に頑張っていました。時間・体力・精神的に本当に苦しい状況の中で祭りという大きなイベントをやり遂げた彼らに対して、私は改めて尊敬の念を覚えさせられました。苦しい状況でも、ひとつのことをやり遂げられるこどもたちを見て、私は今までこどもたちの力を信じていなかったことを反省させられました。祭りの準備から開催までの時間をこどもたちと一緒に過ごして、彼らの力を「信じる」深さが増したように感じました。大人が手を貸さなくても、彼らは自分たちで考え、行動できるということを私に教えてくれました。大人がやってしまえば上手くいくこと、早く終ることも、手を貸さずにこどもたちに色々なことを委ねることが、結果的にこどもたちの力を伸ばすのだということに気が付きました。また、どうすることが一番こどもたちのためになるのかをもっともっと考えなくてはいけないと思わせられる出来事でした。

だいだらぼっちで大切にしている「話し合い」が11月は何度も何度も行われました。今回の話し合いは、皆が自分の心をさらけ出す、とても大切で苦しい話し合いでした。私は、「人の為」と思っていたことが実は自分の為だったこと、本当はだいだらぼっちの仲間のことを深く考えられていなかったこと、自分の100%の気持ちを相手にぶつけず、いつも自分は安全圏に身を置いていたことに気が付きました。「考えてもわからない、答えがでない」で思考が止まっていて、その先を考えられていませんでした。「わからない」と思っている時は、自分では本当に悩んで考えているつもりでしたが、本当はその先を苦しくても考え抜かなくてはいけないのに、そこから逃げていたことに気がつきました。
自分の心を人にさらけ出すこと、相手の苦しみを知ること、感じること、考えること、その人の力になりたいのに実はそんなこと出来ないことを思い知らされること…それは本当に苦しくて、できることなら逃げてしまいたいことでした。でも、この話し合いを通して「そこから逃げちゃダメだ」と強く感じました。苦しくてもそこにちゃんと向き合わなければ本当の意味での人と人とのつながりはできないのだと学びました。
相手を深く知って、相手の弱さを知って、それを認め合って、弱い部分をお互いに補いあいながら支え合って暮らすこと、生きることが大切なことなのではないかと感じました。そうすることで、自分の弱さを認めながら、誰かに助けられて強くなっていけるのではないかと思います。



研修担当なおみちのふりかえり 

 11月の1ヶ月は「仲間になる」とはどういうことなのかを考える重要な時間でした。「こどもと一緒に」を大切にしてきたかおるこは、いろいろな初めてのことや生活の1つひとつに一生懸命取り組んできました。そこから素直に感じたことは、こども達の感性にとても近いように思います。
 しかし、「一緒に」を重ねるだけで「仲間」になれるわけではないことを、7ヶ月を積み重ねた今、実感しているようです。一緒にいることでもお互いを理解する空気はつくられますが、どんな時も向き合う強さがないと心の距離を縮めることはできません。
 ここで不可欠なのが相手を「信じること」だと思います。たとえ相手が間違っていると感じても、自分に対して周りに対して心を開いていなくても、自分が信じて待つことがはじめの一歩なのではないかと思います。自分の思いは必ずいつか相手に届きます。よい面も悪い面も影響しますが。
 自身で振り返っていますが、かおるこはこれまで向き合う苦しさから逃げようとしたり…はたまた相談員の言動の意図や保護者の思いを理解できずに苦しんだ場面もありました。でも、周りを鏡にして自分を振り返るチャンスにしたかおるこは、自分自身と向き合う大切な時間を持ちました。「仲間」を考えることで自分を感じられたことは大きな収穫だたっと思います。
 「何で?」を大切にしてとにかく物事の本質を探ろうとするかおるこは、どの1ヶ月よりも随分たくさんのことを考えた11月だったように思います。「何で?」を問いかけられた私も、今までの自分を分析しながら考える機会をもらい、自分を見つめる大切な時間をもらいました。私も仲間の中で生かされ、育てられていることを感じました。
 仲間や自分自身の「今」に気付いたかおること、私も一緒に深める残り4ヶ月を過ごしていきたいと思います。



 12月かおるこ研修報告

12月は、穴窯の窯焚きがありました。私は窯焚きを通して感じたことが12月はとても印象的でした。
だいだらぼっちの窯焚きは、こどもが主役で焚いていきます。金曜日の夜の火入れから、日曜日の午後までの窯とじまで、火を絶やさないように、夜中もローテーションを組んで24時間体制でこどもたちが焚いていきます。小学校3年生の子から、中学校3年生の子まで、みんな混ざって焚いていくのです。私もこどもたちと一緒に窯焚きのローテーションに入らせてもらいました。穴窯の窯焚きは、温度を1200度近くまで上げていきます。それは、とてもとても大変な作業でした。それをこどもたちは、自分たちで火の様子、窯の様子を見て、薪をくべる本数を決めて、あーでもない、こーでもないと仲間と一緒に頭を抱えながら一生懸命考えて炊いていくのです。継続の子が新規の子を引っ張って窯焚きを教えている姿も印象的でした。だいだらぼっちの窯焚きは毎年こどもたちからこどもたちへ引き継がれていく窯焚きなのです。窯焚き中、こどもたちは本当に一生懸命でした。継続の子は、新規の子に何を伝えたらいいのか?どうやって伝えたらだいだらぼっちの窯焚きが来年に繋がるのかを考えて窯を焚いていました。
11月、こどもたちは息の詰まるような話し合いを続けました。皆自分自身の内面と闘い、仲間と向き合う日々でした。その話し合いを終えての窯焚きは、こどもたちが仲間になったことが証明されているように感じました。窯焚きは、一見すると一つの大きなイベントのように見えます。窯焚きはとても目立つ行事なのです。でも、日常の中に「窯焚き」があり、大切なことはいかに日常を積み重ねているのかなのだと、窯焚きをして感じました。窯焚き中も、だいだらぼっちの生活は普段と変わりません。こどもたちは、朝づくり、ご飯づくり、宿題、洗濯、お風呂焚き、話し合いなど生活を回しながら窯焚きを行います。私は窯焚き中、支え合うこどもたちの姿を見たように思います。生活を回すことも、窯を丸2日間焚き続けることも、絶対に一人ではできないことです。だいだらぼっちの日常生活がそうであるように、「誰かに支えられて生きている」ということを改めて再認識する時間だったのではないでしょうか。

だいだらぼっちのこどもたちは、決して特別なこどもたちではありません。どこにでもいる小学生、中学生です。でも、皆が力を合わせるととんでもない力を発揮します。それは何故だろう?と考えた時、それは、自分の弱い部分を仲間が補ってくれるからではないだろうか?と思います。窯焚きは、まさに自分の弱さを仲間に補ってもらいながら、一つの大きなことを成し遂げる成功体験を得られた場面だったのではないかと思います。完全な人間なんてどこにもいません。誰でも弱い部分、強い部分を持っています。人は、他の誰かに自分の弱い部分を認めてもらいながら、そこを助けてもらいながら生きていくのだと思います。他者にそうされた子どもは、きっとまた別の他者にも同じことをしてあげられます。相手の弱い部分を認めて、助けてあげられる優しい気持ちを持てるのだと思います。だいだらぼっちのこどもたちは仲間とたくさんぶつかって相手を知って、仲間に支えられて成長してきたのだと思います。窯焚きでは、自分では出来ないこと(例えば小学3年生の子は力仕事、危険な仕事はなかなか難しいです)を仲間が助けてくれる場面が多くあります。相手が出来ない仕事を、出来るこどもが補っていかなければ窯焚きは成立しません。それをしっかりとやっていた子どもたちは、日常の生活の中でそうゆうこと(支え合い、認め合うこと)を繰り返してきたのだなと感じました。そして、窯焚きを経験したことでさらに「仲間を認める・支える」という気持ちがより大きくなったのではないかと思います。
これからも教育活動に携わり、こどもたちと関わっていきたいと思っている過程で、とても大切なことを窯焚きを通して教えてもらいました。自分が「強くなる」のではなくて(それももちろん大切なことなのですが)「仲間の弱い部分、自分の弱い部分を認め、仲間を応援し支えていこう」と、そして、自分は本当にたくさんの人に支えられて生きているのだ、ということを伝えていける大人になりたいと思いました。そうゆう気持ちをこどもたちに伝えて、支え合い認め合う、優しい社会を創る種を蒔いていきたいと思いました。
だいだらぼっちの今の仲間と一緒に生活できるのは、残りわずか3か月です。残りの時間を、精一杯だいだらぼっちの仲間たちと生きていきたいと思います。よろしくお願いします。


研修担当つかのふりかえり 

 かおるこは、4月からだいだらぼっちで9ヶ月の暮らしてきた中で、研修生として、大人としての自分という立場を気にするより、自分が一人の人間としてどうあるべきかの方が子どもたちとの関係を築く上で重要だと考えるようになっているようです。その上で、だいだらぼっちでの自分の立ち位置、やりたいこと、頑張っていきたいことを見つけて実行しているのだと語ってくれました。
12月は、穴窯焚き、インフルエンザ対応の生活、冬キャンプで司会進行役などを経験して、今、自分の1番の課題は、解決の仕方がわからない、又は自信が無い問題に直面すると行動に移せないということでした。
私が、自信を付けるためにかおるこにお勧めすることは、「経験や知識を増やしていくこと」と、「今ある力でどうにかしようと思う気持ちを持つ」ことです。自分の能力を高めることはもちろん大事です。しかし、全てのものを知ることや得ることは難しいので、あるもので何とかしよう、何とかなると思えば頑張ることが出来るし、次に繋がる発見があると思います。
失敗してわかることもたくさんあります。子どもも大人も同じはず。
恐れずチャレンジしていきましょう!
自分もそうしていきたいと思います。


 1月かおるこ研修報告

1月は、「相手に自分の気持を伝える・相手の話しを聴く」ということを心がけた1ヶ月でした。なぜそれをしたか?というと、それは冬キャンプで経験したことが大きく関わっています。
冬の山賊キャンプで、私は若長老という役割を担わせて頂きました。その時の族の子供たちはとっても元気なのですが、落ち着いて人の話しを聞くことが苦手なこどもたちでした。キャンプ期間中、私はそのことをしっかりと叱ることができていませんでした。夜の大人のミーティングで、あるスタッフが「子どもをきちんと叱れない大人は間違っていると思う」と言っていました。こどもを叱らないことは、本当にその子のためなの?ともし私が問われたならば、私は何も答えられません。もちろん、叱らないことはその子のためではないからです。そのことがとても強く印象に残っていました。
私の課題は、問題に対する解決力が不足していることです。こどものこと(大人のことでも)で何か問題だと思ったことを解決する力がとても弱いと自分で感じます。キャンプでの出来事は、まさにそれを実感する出来事でした。私は相手に自分の思っていることを伝える力がとても弱いのです。問題は、相手と話をしなければ解決しません。キャンプを通してそのことを痛いほどに感じて、ここを変えていかなくてはいけないと思いました。この先教育現場でこどもたちと接していくのであれば、そこを変えなければこどもたちに何もお返しができないと思いました。
キャンプが終わり、だいだらぼっちで過ごす日常に戻った時に「自分の思っていることをきちんと相手に伝えよう、伝える努力をしよう」と思いました。
そう思っている時に、こどもと話をする機会が何回か巡ってきました。その時に心がけたのは、まず相手の話しをしっかりと聴くことです。相手の声にしっかりと耳を傾けて最後まできちんと相手の話しを聴きました。そして話しを聞く時は、その子は何を悩んでいて、何が問題なのか?をじっくり考えながら聴きました。(問題の本質を見ようとしながら聞こうとしました)そして、その子が自分で問題を解決できるような質問を投げかけてみました。
その上で私が感じること、思うことを伝えていきました。

今までの私は、「考え方は十人十色」という考え方がとても強くて、自分の考え方を相手に話すことをなるべく避けてきました。一人一人違う考え方を持っていて当然なのに、私の意見を相手に伝えることは何だか「考え方の押しつけ」になってしまうような気がしていたのです。でも、それは違うということに今回の経験で気づかされました。
だいだらぼっちでは、私は「大人」という立場で15人の「こどもたち」と一緒に暮らしています。でも、結局は大人かこどもかは関係なく、人間と人間の関わり合いなのです。私は一人の人間としてこどもたち(もちろん大人にも)に接するべきだし、一人の人間として相手に自分の声を届けるべきなのだと思いまいした。だいだらぼっちには沢山の「人」がいます。人は、色々な人の考え方を聞いて、それぞれの意志が形成されていくのだと思います。多くの人の考え方を聞いて、自分の考え方や感じ方が豊かになっていくのだと思います。そう思った時、私はきちんと自分の考え方を相手に伝えるべきなのだと思いました。それが、将来こどもたちのためになるのだと思いました。私や、たくさんの人がここに一緒に生きている意味は「一人一人が違う意思を持っていること・それをお互いに感じ合えること」なのではないかと思いました。そういう場のあるだいだらぼっちは、とても豊かな場なのだと感じました。

1月は、自分の課題に気づき、そしてその課題を解決するために一歩踏み出した1ヶ月でした。自分の課題が明確になったことで、自分の「やらなければならないこと」も明確になりました。それは、私にとってとても大きな収穫でした。だいだらぼっちで過ごすことのできる残り少ない日々で、少しでも自分の課題を解決していけるように努力していきたいと思います。まずは「目の前の相手に自分の意志を伝えること」を続けていきたいと思います。



研修担当ばんのふりかえり 

 今月は、これまで以上に、こどもたちと「一緒に」暮らしているかおるこの姿が印象的でした。
この「一緒に」というのは、ただこどもたちと遊んだり、話したりなど、暮らしの時間を共有しているだけではありません。こどもたちに対して、しっかりと自分の気持ちを伝える場面もありました。
 ある日、風呂焚き当番を忘れていたこどもに対して、「みんなが暮らすための仕事をしないで、自分が遊んでいるのは違うよ。」「次から頑張って。」と話をしたそうです。その子は自分の責任を十分理解しており、かおるこの言葉に涙をこぼしました。
 共同生活を営む中で、こどもたちの言動や生活について注意をすることもあります。それは時にこどもたちと衝突することにも発展します。
 しかし、このような関わりは、一時的にお互いが負の感情を抱いたとしても、将来、こどもたちにとって必ずプラスに転じます。

 近年、「こどもを叱れない教師」の存在がクローズアップされています。
 しかも、その背景には、「こどもからの反発や親からの苦情を避けたい」という教師個人や学校側の思いが少なからず存在しています。そのため、学校教育の現場において、他人や物を意図的に傷付けても見て見ぬ振りをする、注意をしたとしてもただ形式的に、あるいは過度に優しく注意をする場合があるといいます。何よりも怖いのは、そうしたことを「こどもを大事にしている。」「こどもを守っている。」と当事者が考えていることです。しかし、そのようにして育ったこどもたちはどんな大人になっていくのでしょうか?おそらく、人の痛みや物の大切さを考えない、自分すら大切に思えない、そして、それが当然という価値観を築いていくことになるでしょう。

 自分の「現在」ではなく、相手の「将来」を考えて、自分の気持ちを伝える。
 教育に携わる人間にとっては、必要不可欠な心構えです。

 今年度のだいだらぼっちも残すところ後1ヶ月半。新しい課題の発見、更なる成長に期待しています!一緒にがんばろう!


 2月かおるこ研修報告

2月の大きな出来事は、先生になりたい人のためのワークショップに参加して、ものづくりの先生であるぎっくの姿勢に触れたことです。そこでの体験が私の中に大きく残っています。
ワークショップを通してぎっくから教わったことは、人のどんな姿も認める、一緒に考えるということでした。

ワークショップの中で、何キロもの粘土を渡されて「これで自由に何か作っていいよ」と言われたことがありました。その時に、私は正直困ってしまいました。自由に何か作っていいいと言われると、どうしたらいいのかわからなかったのです。私が何故自由に作品を作っていいと言われて困ったかというと、「うまくできなかったらどうしよう」とか「つまらない作品だと思われたらどうしよう」とか、周りを気にする気持ちがあったからです。でも、とにかくやってみようと思って作品を作り始めるとアイディアがどんどん生まれてきて、とても楽しくてワクワクしました。これは私にとって大きな発見でした。
ぎっくは「どんな作品も個性があって素晴らしい」「一人一人違う作品だからこそいいんだよ」という言葉を常に言ってくれます。それは言葉だけではなくて、体全体から伝わってきます。受け止めてくれる安心感があるからこそ、私は粘土遊びを楽しくわくわくした気持ちでできました。

この体験を通して、今の小学校現場でも私が思ったことと同じことが起きているのではないかと私は思ったのです。教員の価値観でこどもの個性を潰してしまっていたり、教員がその子のためと思って「もっとこうしたがいいよ」と言って注意をしてしまったりすることがあるのではないでしょうか。みんなと同じでなければおかしい、そんなおかしな常識が暗黙の了解のようにあるのではないかと思います。それは知らない間にこどもたちの個性を潰してしまい、自分を肯定する気持ちを薄れさせてしまっているのではないでしょうか。

どんなことも、正解はありません。大人はこどもたちより経験が多いので、何かをやる時の上手い方法とか近道を経験から知っています。でも、もしかしたらもっと楽しくておもしろい新しいやり方や発見があるのかもしれません。私はこの体験をした時に、一人一人のこどもの個性を認め、こどもと一緒に考えて一緒にワクワクする大人でありたいと思いました。

相手の姿を認めることの大切さと、そして、認められて人はその安心感の中で自分の個性を発揮して育っていくのだということをワークショップを通して学びました。自分がこどもたちに接する時、人と接する時、その姿勢を常にもって接していきたいと思います。
そして、いつもこどもたちと一緒にワクワクを探しながら、考えながら、こどもたちに寄り添って生きていける大人でありたいです。

だいだらぼっちで暮らしてきた11か月間の学びが、2月に参加させて頂いたワークショップで、自分の言葉にできるくらいはっきりとしたものになりました。今までぼんやりとしていたものがはっきりとしたものになったことで、現場に帰った時にさらに自分の力として活かせるものになりました。
これからこの学びを現場に還元していきたいと思います。


研修担当にっきのふりかえり 

 2月のふりかえりでは、すでに残りの1ヶ月に向かってまとめに入っているようでした。

2月は「先生になりたい人のための体験学習ワークショップ 〜ものづくりから学ぶ『こどもの長所を伸ばす教師の視点』〜 」に参加者として参加し、ワークショップのプログラムを通して、だいだらぼっちで“ものづくり”を教えている講師の考え方・接し方を見て聞き学んできたようです。そこでかおるこ自身が実際に体験したことで彼女自身に落とし込まれたようで、こどもたちと接する中での迷いがなくなったようでした。
 そこでふりかえりでは感じたことを「どうして?」「何で?」と深めました。ふりかえりも読んでもわかりますが、話をしていて一つ印象に残る事を上げると「自分自身が認められた事」で受け止めてくれる安心感を得たということです。
かおること話すと、「今まで人と本気で向き合うことから逃げていた。」と言いました。だいだらぼっちでは、生活を共にしている事もあるので向き合う事から避けたり、自分を隠す事が出来ません。この環境の中で、今年一年は真剣に一人ひとりのこどもと向き合ったのではないかぁと私は思います。向き合ったというのは、こどもたちと向き合う中で相手の良いことも悪い事もすべてを互いに認め合ってきたということではないでしょうか。
 かおるこはワークショップの中で自分が認められた事がとてもうれしく、今後活かして行くポイントであることを言っていましたが、私はすでに実践できている事ではないかと思いました。そしてそれを気づく機会が講師の言葉でありワークショップであったのではないでしょうか。

下旬に行われた4日間焚き続ける“登り窯”では、こどもたちと共に当番入り4月とは見違えるほど距離感でこどもたちと向き合っていました。それは互いを知り認め合えているからではないでしょうか。かおるこは女の子にも男の子にも親しまれ、こどもたちのお姉さん的存在で時には相談を受けたり、正面からぶつかったり、笑ったり、泣いたり、暮らしを共にする本当の仲間となっている様子が日常からも伺えるからです。
 私とかおることはここでできた同年代の仲間でもあります。その立場から「毎日を楽しんで、自分自身がおもしろく感じないとこどもたちも楽しくないよね。」とだいだらぼっちでの生活をふりかえり話しました。大人が楽しんでいなければ一緒にいるこどもたちも楽しくなりません。
 残す3月は本当にあっという間です。指導者育成プロジェクトとしてできることをたくさん経験し、楽しんで、身に着けて欲しいと思います。がんばれかおるこ!!



 3月かおるこ研修報告

1年間で学んだ事


私が泰阜村に来てから、早いもので一年が経とうとしています。気がつけば、あっという間に一年が過ぎていきました。私がここに来て最初にしたことは、自分を見つめ直すことでした。最初にぶつかった壁は、自分を壊すことであり、そのことは私にとって長年の課題でもありました。
本当の自分を隠して過ごすことは、ここでは通用しないということに気がついた時、気持ちがふっと晴れて少し肩の力が抜けました。その瞬間を私は何故かとてもよく覚えています。
「自分が変われば相手も変わる」という言葉をよく聞きますが、だいだらぼっちで過ごす中で、自分の心の持ち方が変わったことで相手との距離が自然と縮まりました。考えてみれば、それまで私は自分のことについてしっかり考える時間がありませんでした。ここで過ごした一年は「自分を見つめ直す」ということをし続けた時間であったと思います。
人と関わる時(教育という分野でこどもたちと関わる時)、大切なことは知識や経験ではなくて一個人の人間性なのだと、日々感じます。頭ではわかっていたつもりでしたが、ここに来て生身の人間と毎日接してその実感は大きく変わりました。それは、こどもたちも同じではなかったのかと思います。

3月、一年がたってこどもたちとのお別れの季節がやってきました。一人の女の子がここを去っていく時、別れが寂しくて泣きながらも、「いってきます!」とすがすがしい笑顔を見せて泰阜を去っていきました。
彼女は4月にここに来た時は、表情がとてもきつくて、いつも友達にきついことばかり言っている子でした。そのことについて一度2人で話しをしたことがありました。その時に彼女は「私はいつも1人だから。誰も私の話しなんて聞いてくれない。」と言って泣いていたことを私は今でも覚えています。
それから一年、本当にいろいろなことを経験する中で、彼女の心の中は変わっていきました。表情も、とても優しいものになりました。去り際の笑顔を見た時に、人は一年でこんなにも変わるんだと改めて驚きました。
私はその時に、今目の前にいる相手と向き合いながら、3月ここを去ってゆく時のこどもたちの成長を信じて、本気でぶつかっていかなればいけない、諦めてはいけない、信じ続けなければいけないんだと思いました。
彼女をそうさせたのは、一緒に暮らした仲間たちです。人は、人に支えられて生きていくんだということを彼女の笑顔から教えてもらいました。
一緒に笑って、泣いて、ケンカして、一緒にご飯を食べてお風呂に入って、同じ作業をして、一緒に寝て…そうやって一緒に暮らすことで育ってゆく心がありました。

他人同士が一緒に暮らす中で当たり前のように起きる様々な問題に、大人が目をそらすことなく、逃げることなくぶつかりながら生きていくことが教育であり、言葉や勉強を教えるのではなくて、「私自身がどう生きているのか?」を見せることが教育であると思います。
こどもたちの成長ぶりから、人は人に支えられて、認められて生きることで成長していくということ、そのためには、相手を受け入れるこどもの心を育てることが必要だということを教えてもらいました。
そのために、自分には何ができるのか?を考えながらこれからの日々を過ごしていきたいです。

一年間、本当に多くのことを学ばせていただきました。この経験をこれから先の自分の人生に活かしていきたいと思います。一年間支えて下さった皆様、本当にありがとうございました。



研修担当しんのふりかえり 

 「人と関わるとき大切なことは知識や経験ではなくて一個人の人間性」という答えを見つけたかおるこ。4月当初は方法ばかりに気をとられ、「どう接したら・・・」「なんて声を掛ければ・・・」と迷ってばかりいましたが、今は別の答えを出したようです。
だいだらぼっちは1年間です。3泊や4泊であれば、作った姿で過ごすことも出来ますが、一年という時間はお互いに「格好つけて」いられない状況になります。知識や経験、スキルはがんばれば得られるものです。しかし人間性は日々の自分との葛藤の末にしか育つものではなく、しかも正解はありません。だからこそかおるこにとっても苦しい場面もたくさんあったと思います。
ただかおるこはもうひとつの答えを見つけました。それは「3月ここを去ってゆく時のこどもたちの成長を信じる」ことです。日々の関わりだけを見れば、「なぜ伝わらないのか?」と悩むこともあります。しかしその積み重ねは見えなくとも、一年後に小さくても形になることを信じることが大人の役割なのです。そこに気づいたかおるこは少し楽になったのではないかと思います。現に4月からはじまった2010年度のだいだらぼっちでは、確実にその姿が変わっているからです。というのも実はかおるこはこの4月から、責任ある立場でさらに1年間仕事として関わってみたいとグリーンウッドの研修職員となることを選び、今もまたこどもたちと葛藤しているからです
2年目になったとしても、また新たな悩みや苦しみは生まれるもの。しかしそれも自分の人間性を育てるための大事な肥料だと考えて、持ち前の打たれ強さで前に進んでもらいたいと思います。がんばれ!かおるこ!


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