NPO法人 グリーンウッド自然体験教育センター
代表だいちのGREENWOODコラム


2006年7月1日
『安全講習ひっばりだこです』

 サッカーのワールドカップがいよいよクライマックスを迎えています。日本はちょっぴり残念でしたが。今回のワールドカップは警告(イエローカード)や退場(レッドカード)が多発し、選手の故障も心配になります。2003年コンフェデレーションズ杯の試合中カメルーンのフォエ選手が突然死したことは記憶に新しいことだと思いますが、皆さんはいかがでしょうか。
 さてさて、この6月は、夏を控えているということもあると思いますが、私どもNPOグリーンウッドはとにかく多くの方々から安全講習の依頼を受けました。村の読み聞かせボランティアの方々に子ども用の安全講習、村内の小学校PTAにプール学習の安全講習、飯田市のデイケアセンターで職員研修、名古屋の私立大学で国際認定救命講習、飯田市の天竜川総合学習館で親子に川のルールを学ぶ講習と国際認定救命講習、長野県キャンプ協会会員に国際認定救命講習、沖縄県で国際認定救命講習・・・。 
 この数年、なくなるどころかますます複雑になる子どもを取り巻く事件・事故など、社会全体のセルフディフェンス・セルフレスキューの意識が高まっているのかもしれません。
 私たちNPOグリーンウッドは、20年間、自然体験活動を実施してきました。変数の多い自然と向き合うことは、それ自体がすでにリスクマネジメントを行っていることになります。20年のノウハウから導き出された安全講習の質が評価されています。
 これから夏に向けてちょっと安全意識を高めたい子ども会の役員さん、保育園・小学校の先生のみなさん、部活動のコーチのみなさん、昔救命法講習を受けたけどもう忘れた・・・という方々、ぜひご相談ください。講習を受けるときっと目からウロコが落ちますよ。 
(事務局長 辻だいち=MEDIC FIRST AID国際トレーナー)


2006年6月15日
『モンゴルで国際平和キャンプ実施!』

 6月10日〜14日まで、「Kids’ AUキャンプ2006 in モンゴル」をモンゴルで開催してきました。2001年から私たちNPOグリーンウッドが主導して日本で始まった、北東アジアのこどもたちの自然体験活動による交流キャンプは、2005年には韓国で、そして今年はモンゴルで開催と、強い意志を持ったうねりとなっています。
 モンゴルの大草原を舞台に、言葉が通じない6カ国の子どもたち60人が、見事に仲良くなっていく場をこの目で見て、この活動は間違っていないと確信できました。
 6カ国の子どもたちを同時に集めてキャンプをするということを市民活動レベルで実現するには大きな労力と資金、そして強い意志が必要です。今回のホスト国モンゴルの実行委員会は、モンゴルの青年会議所や大使館、政府などとも協力してたいへんがんばってくれました。また、子どもを送り出してくれたそれぞれの国の方々にも頭が下がります。
 日本から参加した小学校5年の女の子が次のようなふりかえりを残してくれました。「このキャンプで私たちこどもが仲良く楽しめるように、こんなにたくさんの大人たちが夜も寝ないで準備をしたりしてくれたんだと気がつきました。本当にありがとう」
 来年もがんばろうと思います。
 Kids’ AU・子どもたちのアジア連合の詳しくは次のサイトをぜひご覧ください。www.kids-au.net
(事務局長 辻だいち)



2006年6月6日
『「♪生きている鳥たちが・・・♪」 ― 私の子どもたちへ ―』

 13年前に泰阜に入って暮らしの学校「だいだらぼっち」のこどもたちと生活し始めましたが、その当時からよくギター片手にこどもたちと歌っていました。それまでどちらかというとニューミュージック系の曲ばかり弾いていましたが、泰阜に来て衝撃的な唄との出逢いがありました。
 代表の村上(キャンプネームはむさし)がよく子どもたちに弾いたり、何気なく1人で弾いたりしていた曲に惹きつけられ、以来「これだ!」と自分でも弾くようになりました。当時の夏キャンプに来ていたこどもたちに向かって、キャンプ最終日に必ずこの唄を歌い、その想いを伝えてきました。当時暮らしていただいだらぼっちの子どもたちも耳にタコができるほど聞いたことでしょう。そして、薪ストーブを囲んでいつもこどもたちといっしょに歌っていました。私は自分の息子の子守唄としても歌っています。
 その唄を紹介します。

 ♪ 生きている鳥たちが 生きて飛びまわる空を
   あなたに残しておいて やれるだろうか父さんは
   目を閉じてごらんなさい 山が見えるでしょう
   近づいてごらんなさい こぶしの花があるでしょう

   生きている魚たちが 生きて泳ぎまわる川を
   あなたに残しておいて やれるだろうか父さんは
   目を閉じてごらんなさい 野原が見えるでしょう
   近づいてごらんなさい りんどうの花があるでしょう

   生きている君たちが 生きて走りまわる土を
   あなたに残しておいて やれるだろうか父さんは
   目を閉じてごらんなさい 山が見えるでしょう
   近づいてごらんなさい こぶしの花があるでしょう ♪

 曲名は「私の子どもたちへ」といいます。泰阜村の自然を次の世代まで残せるのでしょうか。いや、残すのがわれわれ大人の責任で、その気持ちや自然の大事さをこどもたちに伝えたいと一所懸命歌ってきました。
 この曲の作詞者は岐阜県中津川の方で、唄はマスメディアなどではなく手渡し口うつしで伝わっていくものと常々言っています。ずっとお会いしたいと思っていましたが、やっと先日お会いすることができました。いつか暮らしの学校「だいだらぼっち」に呼びたい。  
 その日が来るまでは、やはり自分がぼちぼちギターを弾いて、唄っていきたいと思います。作詞者は「笠木透」という人です。(事務局長 辻だいち)


2006年5月20日
『夫婦間の○○!? まず足元の第一歩を始めよう!』

内閣府が4月に発表した「男女間における暴力に関する調査」結果によると、夫から心理的攻撃を含む暴行(DV被害)を受けたことがある妻が3人に1人に上り、このうち離婚を考えたものの踏み切れなかった妻は4割を超えた、ということです。
 「う〜む・・・」なんとも考え込んでしまう数字です。このHPの「スタッフ紹介」のページでも記してあるとおり、私のテーマは「パートナーシップ」です。最近は様々な場面で「協働:パートナーシップ」という言葉が氾濫していますが、パートナーシップの日常的な最小単位はきっと「夫婦」でしょう。
 私は南信州の僻地山村でNPO活動を仕事として取り組んで13年たちます。妻(連れ合いともパートナーとも言う)も同じNPOで仕事に取り組む共働きです。24時間ずっといしょにいる生活をもう9年過ごしてきましたが、お互いを尊重し理解しあって暮らすことのたいへんさとすばらしさを感じています。僻地ゆえの物理的ハンディキャップは枚挙に暇がありませんが、子どもも3人授かりたいへん幸せな日々です。それでも、もしかしたら、妻は私から何らかの心理的攻撃を含む暴行を受けたのでないかと心配です。
 そういば同じ時期に読売新聞社が行った全国世論調査(面接方式)では、小泉内閣の構造改革によって「社会の格差が広がった」と思う人は6割近くに上った、ということです。この2つの調査結果から、強者と弱者の構造がキーワードとして抽出できそうです。男と女、裕福層と貧困層、行政とNPO、都会と僻地、○○と○○・・・。格差が広がるのは何も経済分野だけではないでしょう。弱者にもスポットをあてた地域づくり、国づくりこそが、持続可能な社会作りの土台だと思いますし、今この国に求められていることなのではないかなと思います。
 社会の格差全てに目を凝らし、それらの格差是正に向けて社会改善の大きな行動を起こすことは私たち庶民の仕事ではありません。しかし、私たち庶民でも足元の暮らしのレベルで第一歩を始められると想います。先日、首相官邸と皇居に初めて入る機会がありました。国のVIPの本拠地の意味づけは理解しながらも、そのお金のかかっているであろう建物に入ると「格差」という文字が頭をかけめぐり思わず気を失いそうになりました。
 格差の是正も念頭に、私たちができる第一歩=ぜひ夫婦間のパートナーシップを構築したいものです。5月下旬には、私たちの結婚記念日があります。 (事務局長 辻だいち)



2006年5月14日
『亀田3兄弟も!? 山村留学に参加すると体が丈夫になる!?』

 5月5日こどもの日を「亀田の日や」と、兄弟でボクシングの試合を敢行してそろって勝利をおさめた亀田興毅、大毅兄弟をご存知でしょうか。テレビの瞬間最大視聴率40%という驚異的な数字をたたき出した彼らにはもう1人14歳になる弟がいて、この弟がまた逸材だとか。
 それはさておき、その亀田三兄弟が、5月5日の試合後に筑波山に山ごもり特訓をしたと聞きました。詳しく聞けば、小学校の廃校を利用した肝試し、そば打ち、陶芸、丸太きり、薪割り・・・。
 『あのデラホーヤ(6階級制覇の世界チャンピオン)もパンチ力の源といわれる後背筋を強化するために練習に取り入れていることで有名だ。「ケガせんように気いつけながらやった。結構、力がいるな」と興毅。力任せに振り回せば、刃先が自分の足を直撃しかねない。真っすぐ振り落とすよう、コントロールに集中した(スポーツニッポン)』
 『11日はそば打ち、釣りトレも用意。釣りトレは山中の人工池で行う予定で、浮きの浮き沈みで動体視力、引きのタイミングでカウンターの間合いを養う(デイリースポーツ)』
 さてさて、これって全く、私共NPOグリーンウッドの運営する山村留学事業・暮らしの学校「だいだらぼっち」で子どもたちが実際にやっていることと同じです。亀田3兄弟のトレーナーである父親が「薪割りや丸太切りでフックが強くなる」と言っていましたが、そうだとすれば暮らしの学校「だいだらぼっち」の子どもたちもケンカ?ではなく、体が強くなりそうです。
 しかも暮らしの学校「だいだらぼっち」の子どもたちは、薪割りをする時に、「この薪、燃えるかなあ。水分含んでるな。針葉樹かな広葉樹かな。こっちは風呂薪、こっちはストーブ薪だな・・・」と、すでに自らの暮らしにその薪をどう活かすかを考えています。その意味では、体力向上と段取り能力向上の一石二鳥でしょうか。陶芸も、精神統一・精神集中などの意味づけがよく言われますが、暮らしの学校「だいだらぼっち」の子どもたちは、作った食器が食器棚にきちんと入るか、そして食器同士が重なるか、さらに洗いやすいかなど、自らの暮らしでの使い方まで考えて陶芸をやっています。
 そういえばテレビで人気の「ダッシュ村」では、田舎暮らしをしたり、陶芸登り窯で食器を焼いたりと、暮らしの学校「だいだらぼっち」と同じことをやっています。こう考えると、山村留学は体力はもちろん向上するのですが、どうやらその能力だけが向上するのではなさそうです。学力も向上するのでは?ということはすでにコラムで書きました。
 亀田3兄弟も、暮らしの学校「だいだらぼっち」に参加すれば、もっと体力も段取り能力も学力も、そして人間力も向上し、世界チャンピオンに駆け上がるのではないかな、と本気で思っています。
 今日5月14日、朝日新聞全国版生活面で暮らしの学校「だいだらぼっち」の記事、特に薪割りが大きく掲載されました。こちらにも掲載しておりますのでぜひご覧ください。 (事務局長 辻だいち)



2006年4月30日
『森に川にと大忙しです!』

 ようやく南信州にも新緑の兆しが芽生えてきました。その気持ちのいい陽気の中、先日、岐阜県立森林文化アカデミーという専修学校に呼ばれ、3時間の講義を行ってきました。そのアカデミーの教授陣とはつきあいがありましたが、実際に行くのは初めてでした。学生は、高校を出てからすぐに入った若者、大学を出てから入った若者、社会人で入学した人たちなど多種多様な人たちでしたが、皆、森林に向き合って行こうという気持ちのよい人たちでした。
 講義を終えたその足で東京に向かい、今度はNPO法人川に学ぶ体験活動協議会と財団法人河川環境管理財団が実施する、川の体験活動指導者養成システムの検証を行う検討委員会に出席しました。国土交通省河川局河川環境課の課長補佐をはじめ、全国の河川体験活動を活発に行う団体代表者が集まり意見を交わしました。
 そのまま長野県泰阜村に戻り、次の日、今度は地元天竜川流域を管理する国土交通省中部地方整備局天竜川上流河川事務所課長の来訪の応対をしました。今後の行政とNPOの協働について、たいへん有意義な意見交換を行うことができました。
 日本の未来を背負う青少年のために、森や川と向き合って今私たちができること。それを地道に丁寧にがんばって形にしていきたいものです。
(事務局長 辻だいち)



2006年4月13日
『山村留学に参加すると「学力」が上がる?』

 世間ではパパ向けの教育雑誌が売れているようです。わが子の学力を向上させるには何が一番効果があるか、ということには、どうやらいつの時代も興味があるようです。
 そんな人たちにとっては、今回のテーマは少々サプライズでしょうか。従来の山村留学につきまとうイメージが「学力が下がるのは覚悟しなきゃね」「何か問題があって田舎の学校に行かせるんですか?」というマイナスのイメージですから、「学力が上がる」とはずいぶんイメージチェンジです。
 しかし、考えてみてください。泰阜村での山村留学を例にとってみれば、毎日こどもたちが通う村の公立小学校は1学年10名前後の少人数学級です。こどもが少ないという物理的な問題からそうなっているのですが、すでに少人数教育を実施している点では日本の教育政策の先頭を走っていると言っても過言ではありません。実際に、先生たちは丁寧にこどもたちに勉強を教えています。マイナスなイメージはおろか、教育環境としてはたいへん素晴らしい環境かもしれません。
 学校から帰ってきた暮らしの学校「だいだらぼっち」では、子どもたちには生活の仕事がたくさん待っています。風呂やストーブは薪ですから薪割りはもちろん、みんなの夕食作り、畑の草取り、部屋の掃除、自分の洗濯などなど・・・。そして当たり前ですがテレビやゲームもありません。何もしなければそのまま過ぎてしまう時間ですが、自分で時間を創れば勉強する時間はたくさんあるのです。最初から時間をあてがわれて勉強するのと、自分から時間を創り出して勉強するのとでは、どちらがやる気をもって勉強するかと言えば、当然後者ではないでしょうか。そしてその方が短時間で集中して勉強するので効果的でもあると言えます。こちらもとても家ではつくれない環境なのではないでしょうか。
 また、最近長野県では松本短期大学の教授が幼児向けの運動プログラムを発案し、県内の自治体のほとんどが「脳を鍛える」と採用を始めているようです。運動プログラムと言っても昔ながらの子どもたちの遊びばかりです。これら運動プログラムを経験した子どもたちは経験のない子どもたちより集中力、注意力がある、という研究結果も出たようです。 
 山村留学に参加する子どもたちが、毎日毎日外で群れて遊んでいることは想像に難くないでしょう(宿舎の中でも常に体を動かして遊んでいますが。笑)。自然と向き合い、仲間たちと共に過ごす彼らは生活の中で集中力、注意力を自然に高めています。その彼らが環境に恵まれた学校や宿舎で勉強をしています。今回のテーマ、あながちサプライズでもないかな、と想いませんか?
 4月15日、NHK総合テレビ朝7:30から、暮らしの学校「だいだらぼっち」が放映される予定です。ぜひご覧ください。
(事務局長 辻だいち)



2006年4月9日
『村の共同作業には学ぶことが多い』

 合併せず自立を目指す泰阜村では、春と夏、秋に村民自らが「自分たちでやること、できること」ということで、道路清掃や溝掃除を行っています。道路清掃などを「行政・自治体がやるべきだ!」と言いながら「行政は税金の無駄使いが多い。スリム化しろ」と言うのでは、自立・自律を目指す住民とはなれないのでしょう。「自分たちのことはできるだけ自分たちでやる」というのは「言うは易し、行なうは難し」ですが、泰阜村ではまさにそれを地で行っており、これらの作業を「道路愛護」と言います。
 暮らしの学校「だいだらぼっち」のこどもたち・スタッフも、当然この道路愛護作業に出労します。この村にまだまだ息づく「お互い様」の風習、つまり隣家が困ったときには地域総出で寄り合い解決する、またあちら隣が困ったら総出で助け合う、という風習とも言えるこの道路愛護作業に出ること自体に多くの学びがあります。
 溝にたまってしっとりとなった落ち葉を掻き出すのですが、決まって暮らしの学校「だいだらぼっち」では軽トラックにその落ち葉を積み込みます。地域の方々もいつものことと協力してくれます。落ち葉という山からの恵みを、共同作業で掘り起こし、だいだらぼっちの畑で堆肥化して、野菜作りにいかします。
 お互い様、循環型ライフサイクル、住民自治と、学ぶことが多い地域の作業。山村留学のこどもたちも、この村出身ではないスタッフも、まさに自立を目指す村づくり、持続可能な地域づくりに参加しています。今はまだ「参加しています」のレベルですが、徐々に「一端を担っています」にしていきたいものです。    (事務局長 辻だいち)



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